呉服業界の販売会は闇。思い出す秋

 最近呉服屋の前を通ったことで、数年前の秋に何とも言えず嫌ーーーな思いをした記憶が蘇りました。既に「販売会はやばい」という情報はいくらでも出ているかと思いますが、ロクに知らずに行って後悔した思い出が蘇ってきたので、まとめておこうと思います。

 

 

そもそものきっかけ

 ちょっといい浴衣を買いたくて、呉服屋に行った事です。綺麗で涼しげな水色の浴衣を買いました。自分としては安い買い物ではありませんでしたが、素敵なものが買えて良かったと思っています。

 前々から着物には憧れていて、呉服屋さんに並んでいる派手すぎない着物に魅力を感じました。

販売会へ

 それから販売会のお知らせなど届くようになりました。頻度はそれほど高くありませんが、いつも直筆で一筆添えられていました。その時は特に何も思いませんでしたが、今思えばそうやって必死に営業しているんですね。就職したら相当大変だと思います。

 ある日、特に予定もなかったですし、安くていい商品も手に入ると聞いたものですから、ちょっと行ってみようと思いました。

 入ってみたら、入り口付近でしばし待たされ(お茶が出た)、担当のような店員が一人つきました。

販売会の内部

 大体5ブースに分けられていました。

①入り口付近 バーゲン品

 ここは結構安いものが多かったです(そうは言ってもそこそこしますが)。着物に興味があったので、ここは買ってみたいなと思う品がありました。店員さんのテンションは決して高くない。

②お好きな着物に投票ブース

 何だかものすごく高そうな着物の写真が8つほど掲げられてあって、どれが素敵だと思いますか? と聞かれました。

 こういうのはいりませんと言ったんですが、「単なるアンケートですので!」と言われました。しょうがないので1つ選びました。

③着物試着ブース

 さっき投票した着物を、「いらない」とはっきり言ったのに羽織らされました。3ケタ万は平気でするような品です。すると、周囲の人たちが集まって、素敵だ素敵だと褒めてくるんです。

 いらないのに、分割で買えますよ! と言われます。月々のお支払いが〜と来るので、ヒヤヒヤしました。

④着物作家?とお話コーナー

 さっきのバカ高い着物よりはだいぶ安い着物(布地など拘っていて、おしゃれではある)を見せられて、作家さんだという人と少しお話をしました。

 確かに綺麗な着物で、さっきあまりにも高い着物を見せられたせいか、買ってもいいかなという気持ちになり、そこで私は契約をしました。私は一括の買い物しかしたくないと言ったのですが、着物はみんな分割で買うよ! という言葉に、そういうもんかと思ってしまいました。

 営業トークをしてきたおばさんが、若い女性の店員に、「私はね、売りつけるようなことはしていないのよ。こうやって商品の魅力を説明して、そうするとお客さんが、自分で買いたいって思うのよ。」と勝ち誇ったようにお話をしていました。

 ちょっとここが引っかかるポイントになりまして、後で目が覚めるきっかけにもなったので、あのおばさんには感謝しないといけないかもしれません。

⑤振袖コーナー

 私は既に成人していたので関係ありませんでしたが、10代後半の女の子とその両親があれこれ営業されてました。

クーリングオフ

 あんな高い買い物をして良かったのかな? とその日は悩みました。だって、お給料が吹っ飛ぶような買い物です。いいものだし、大切に着よう…。と、最初は思いましたが、販売会の様子があまりに特殊だったので心配になり、ネットで販売会について調べてみました。

 まさに、私が体験したような事が買いてありました。客観的に読み進めてみると、「こんな売り方は健全には思えない」と思いました。さっさとクーリングオフしよう、と心に誓い、思い立った翌日には店舗まで足を伸ばし、契約解除しました。解除は割とすんなりできました。

 一応理由は聞かれたのですが、落ち込んだ様子を見せて、「両親に猛反対された(別にされてないですけど)。家族と険悪な仲になってまでする買い物ではないと思った」と伝えたら何だか納得してもらえました。また来てくださいね、と言われましたが、もう行くものかという気持ちでいっぱいでした。

 うまく契約解除できたから良かったですが、クーリングオフする前は、もしこのまま買うことになったらどうしよう…とドキドキして眠れませんでした。ほいほい乗せられて買ってる自分も悪いんですけどね。

行って良かったと感じる点

 きちんとクーリングオフ出来たので、結局懐への痛手はありませんでした。嫌な思い出にはなりましたが、以下のように勉強出来た面も大きかったなと思います。

販売会の様子が知れた

 スーパーやデパートとは全く違う販売形態に気圧されました。

 もし、今後似たような機会があっても、「これは注意せねば」とある程度自衛できそうです。

はっきり断る意志が身についた

 当たり前ですが、いらないものはいらないと言わなければいけません。そんな当たり前のことができていないことに気づけたのは大きかったです。

 時にはこのことを振り返って、いらないものはいらないとはっきり伝える大切さを思い返しています。

やっぱり一括払い!

 今回、分割に手を染めかけましたが、やはり一括で払えない買い物はしない(よほど家とかじゃない限りは)!

 一括で買えないものを買おうとするのは身の丈に合いません。

 スマホなどは分割払いすることも多かったですが、機種代も一括で払おう! と心に誓いました。

自分の弱さがわかった

 自分が認識していた以上に、自分は流されやすく、みんなそうしているという言葉に弱いんだと感じました。

 みんなそうしているからそうするのではなく、みんなそうしているのは何故なのか考えなくてはならないと学びました。これが一番大きかったです。

 

 こう書いてみると、勉強できたことも多いですね…。

 

私が着物を買うならここにする

 このことでだいぶ懲りたので、しばらくは着物なんかという感じでしたが、やっぱり着てみたいなと思うことはあります。色々見て、ここは個人的にいいかもと思ったものです⇩

①ネットの着物屋さん

 洗えてかわいいプレタ着物なら3000円で買えちゃうこともあります。ペラペラだとか、裾捌きが悪いだとか、見る人が見ればわかっちゃうとか言いますけど、何かそれで問題あるんですかね?

②リサイクルきもの「たんす屋」さん

 新宿サブナード店に行きましたが、少なくとも私が行った時は変な営業もありませんでした。リサイクル品は、昔の人は背が低いことが多いから、丈が足りないかもしれないので注意してください、と教えてくれました。

③デパート催事場の着物販売会

 ある程度注意が必要かも知れませんが、私が行った時には、お客さんも多いためか張り付かれるようなことはなく、お値段も手頃のものが多かったです。

 

 ここまでの内容は、比較的前の出来事になります。今の呉服業界は変わっているのでしょうか?

 興味があった気持ちがだいぶ萎んだのは事実ですが、懲りずに挑戦してみたい気持ちもあります。

 皆さんも販売会に行く際には、いらないものは買わないぞ!という気持ちは強く持たれた方が良いかと思います。